NEW 戦後西ドイツにおけるグラフィック表現の魅力を紹介する「戦後 西ドイツのグラフィックデザイン展」が兵庫 西宮市大谷記念美術館にて10月26日から開催

戦後西ドイツにおけるグラフィック表現の魅力を紹介する「戦後 西ドイツのグラフィックデザイン展」が兵庫 西宮市大谷記念美術館にて10月26日から開催

戦後西ドイツにおけるグラフィック表現の魅力を紹介する「戦後 西ドイツのグラフィックデザイン展」が兵庫 西宮市大谷記念美術館にて10月26日から2025年2月24日まで開催。本展の見どころや構成、ポスター、雑誌などの展示作品を紹介します。

※以下、画像とテキストは、情報提供を受けてプレスリリースから引用

「戦後 西ドイツのグラフィックデザイン展」概要

ヴォルフガング・シュミット 映画「カプリオーレン」 1963 年 ポスター

ヴォルフガング・シュミット 映画「カプリオーレン」 1963 年 ポスター

本展覧会では、デュッセルドルフ在住のグラフィックデザイナー、グラフィックデザイン研究者・大学教授であるイェンス・ミュラー氏が設立した「A5 コレクション・デュッセルドルフ」を日本で初めて紹介します。戦後西ドイツのグラフィックデザイン資料を中心に収集され、ポスターだけで1,000点以上、その他資料類は10,000点を超える規模に成長した本コレクションは、戦後の分断から1990年ドイツ統一までのグラフィック表現を探る上で非常に重要なものです。

戦前のドイツではバウハウス(1919~33年)がモダンデザインの思想と教育を世界に示し、戦後の西ドイツではその理念を継承するウルム造形大学が1953年に開設されました。第二次世界大戦後、アメリカのデザインがもてはやされる中、ドイツではモダニズムの思想を受け継ぎながら、デザインと科学・哲学・社会思想などとの接点を探る、デザインの理論と実践を発展させていきました。

1950年代末、西ドイツのGNP は世界第2位に躍進し「経済の奇跡」と呼ばれましたが、その背景にはドイツ特有のデザインシステムが関与したことが考えられます。世界で最も古い歴史を持つセーリング・フェスティバル「キールウィーク」、1972年のミュンヘンオリンピック、カッセルで5年に一度開催される現代美術展「ドクメンタ」などスポーツや文化における国家的イベントのイメージを形成する上でも、グラフィックデザインは大きな役割を果たしました。本展ではポスター約130点、その他冊子、雑誌などグラフィック関係の小品約250点で、戦後西ドイツにおけるグラフィック表現の魅力に迫ります。

展覧会構成

序章:ドイツデザインへようこそ!(welcome to German Design)

ルフトハンザとオトル・アイヒャー
ドイツを代表する企業の一つであるルフトハンザを取り上げ、ドイツへの誘いとします。現在も使われている濃紺と山吹色を基調色とし鶴を描いたルフトハンザのロゴ。これはオットー・フィルレ(Otto Firle)が1918 年にルフトハンザの前身であるドイツ空軍レーデライのためにデザインしたロゴに起源を持つものです。戦後1960 年代にオトル・アイヒャーがCI(コーポレイト・アイデンティティー)として、ルフトハンザのデザインを整えていきます。世界各地への憧れを喚起する写真を使用したポスター、オトル・アイヒャーによるデザインマニュアル、乗客のために供された様々なグラフィックデザインを紹介します。

西ドイツでの国際イベント
西ドイツにおいて最も重要な国際イベントは、1972 年にミュンヘンで開催された夏季オリンピックと言えるでしょう。「72 ミュンヘンオリンピック」でオトル・アイヒャーは、競技種目や会場施設案内のピクトグラムを含むアイデンティティー、グラフィックデザイン全般、マスコットキャラクターなど多岐にわたるデザインを指揮。ナチス・ドイツが主導した1936 年のベルリンオリンピックを払拭する、新しいドイツをイメージさせるデザインを目指しました。ドイツ中部カッセルで5 年に1度開催される世界的な現代美術展「ドクメンタ」、ドイツ北部キールで開催される世界最大のセーリング・フェスティバル「キール・ウィーク」など西ドイツで開催された国際的なイベントのために制作された優れたグラフィックデザインを展示します。

ハンス・ヒルマン キール ウィーク 1964 1964 年 ポスター

ハンス・ヒルマン キール ウィーク 1964 1964 年 ポスター
© Marlies Rosa-Hillmann

1章 :幾何学的抽象(Geometric Abstraction)

画面の分割構成
グラフィックデザインにおいて画面(紙面)をいかに分割し、構成させるかは重要な仕事です。まずはじめに黄金比に則って画面を分割していく実験的な作品を紹介します。

幾何学的抽象の構成要素
1920年代美術史上国際的な展開を見せた幾何学的な線や面やマッスによって構成される表現形式として知られる幾何学的抽象。グラフィックデザインの世界においてもこの潮流は見られ、バウハウスに関わったモホイ= ナジ、ヨーゼフ・アルバースらによって戦後も受け継がれていきました。ここでは幾何学的抽象を構成する円、矩形、線などの諸要素がいかにポスター全体にリズムを与えているかについて考察します。

2 章:イラストレーション(Illustration)

ビジュアルコミュニケーションにおいて、重要な要素であるイラストレーション。原初的な表現でありながら、写真など新しい表現が登場した後も重要な役割を担っています。ドイツを代表するデザイナー、イラストレータであるハンス・ヒルマンは、特に映画の分野で優れたグラフィックを残しています。映画の内容を彼独自の感性で表現したバラエティーに富んだ表現はヒルマンのイラストレーターとしての実力が感じられます。その他、ハインツ・エーデルマンの洒脱に富んだ筆致による作品、ドイツの出版社DTV との仕事で優れたデザインを残したイタリア人デザイナー、セレスティーノ・ピアッティ、さらにはフィシャー= ノスビッシュ、イュルゲン・シュポーンなど才能あふれるデザイナーの作品も紹介します。シンプルで理知的かつ物事の本質を鋭く描くドイツらしい表現を御覧ください。

ハンス・ヒルマン 映画「長距離ランナーの孤独」 

ハンス・ヒルマン 映画「長距離ランナーの孤独」 1966 年 ポスター
© Marlies Rosa-Hillmann

ミヒャエル・エンゲルマン T2 1963 年

ミヒャエル・エンゲルマン T2 1963 年 ポスター
© Echo Engelmann

ハインツ・エーデルマン イヴ・モンタン『 シャンソン』 1963 年 レコードジャケット

ハインツ・エーデルマン イヴ・モンタン『 シャンソン』 1963 年 レコードジャケット
© Valentine Edelmann

ハインツ・シュヴァーベ 『Gebrauchsgraphik 』1953年11月号 1953年 雑誌表紙
© Nachlass Heinz Schwabe/FH Dortmund/Bettina Schwabe

3章:写真(Photography)

印刷技術の発展に伴い、グラフィックデザインにおいて写真は有効なイメージ伝達手段として、非常に重要な表現方法の1つとなっていきました。優れた写真表現をそのままグラフィックデザインに反映することはもちろん、それらを1つの素材としてデザインに組み込んでいくことで多彩な表現を実現していきました。写真の配置、切り取り方などの工夫以外に、コラージュやモンタージュなど様々な加工を施すことで、グラフィックデザインの表現はより豊かなものになっていきました。

ハンス・ヒルマン 映画「悪魔の美しさ」 

ハンス・ヒルマン 映画「悪魔の美しさ」 1964 年 ポスター
© Marlies Rosa-Hillmann

ピエール・メンデル、クラウス・オベラー(メンデル+ オベラー)『Gebrauchsgraphik』1964年3月号

ピエール・メンデル、クラウス・オベラー(メンデル+ オベラー)『Gebrauchsgraphik』1964年3月号 
1964年 雑誌表紙 © Pierre Mendell Design Studio

ヴィリー・フレクハウス 『twen』1959年10月号

ヴィリー・フレクハウス 『twen』1959年10月号 1959年 雑誌表紙

4章:タイポグラフィ(Typography)

グラフィックデザインにおいて、イラストレーションや写真がイメージの伝達に役立つ要素であるのに対して、文字は直接的な伝達媒体と言ってもよいでしょう。言語によるコミュニケーションをいかに有効にデザインするのか、という視点からタイポグラフィの重要性を考えます。

第一世界大戦後、国際的なコミュニケーションが拡大した時代にふさわしいユニバーサルな書体デザインの需要が高まります。それに応えるためドイツでは1919年開校したバウハウスにおいて、タイポグラフィ研究の礎が築かれました。視認性の高いフォントとして知られるサンセリフのシンプルなタイポグラフィが、あらゆる媒体で使われるようになっていきます。一方で、視認性はもちろんのこと、グラフィックが伝達する内容にふさわしい文字の開発も進みます。文字そのもので遊ぶかのようなユーモラスな書体や、文字の可能性を示唆するような表現が精力的に行われました。

ヴォルフガング・シュミット バウハウス 思想/ 形/ 目的/ 時間 展 オスナブリュック文化歴史博物館

ヴォルフガング・シュミット バウハウス 思想/ 形/ 目的/ 時間 展
オスナブリュック文化歴史博物館 1964 年 ポスター

開催概要

展覧会名戦後 西ドイツのグラフィックデザイン展
Back to Modern – Graphic Design from West Germany
会期2024年10月26日(土)〜2025年2月24日(月・祝)
時間10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日水曜日、年末年始(2024 年12 月23 日(月)〜2025 年1 月3 日(金))
会場西宮市大谷記念美術館
住所〒662-0952 兵庫県西宮市中浜町4-38
MAP
入場料一般/1,200円(1,000円)
高大生/600円(400円)
小中生/400円(200円)

※( )内は前売料金
※団体料金は各料金から100 円割引(20 名以上)、
※前売券はローソンLoppi(L コード55991)または、当館にて販売(10 月25 日(金)まで)
※西宮市内在住65 歳以上の方は600 円、西宮市内在住の一般の方は1,000 円(いずれも要証明書呈示)
※ココロンカード・のびのびパスポート呈示の小中生は無料
※心身に障害のある方及び介助者1 名は無料(要手帳等呈示)
美術館公式サイトhttp://otanimuseum.jp
SNS一覧
主催公益財団法人 西宮市大谷記念美術館
後援西宮市、西宮市教育委員会、大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館、
ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川、NHK 神戸放送局
特別協力A5 コレクション・デュッセルドルフ
企画協力株式会社キュレイターズ
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Takenaka Kenji

Takenaka Kenji

playpark合同会社 代表・クリエイティブディレクター

1983年生まれ。大阪の出版社でデザイナー・編集者として勤務。ECサイト会社などを経て2017年デザイン事務所playparkを設立。2022年にアート、デザイン、エンタメ、クリエティブなど業界のクリエイティブを「発見し、考え、繋げる」をテーマにWEBマガジンBuzzBubble(バズルバブル)をスタートさせる。

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